最初に硯って、そもそも必要なのか?
結論から言いますと、墨を磨らない方は必要ないと思います!
墨液を入れるだけなら墨池(プラスチック)という便利な商品がありますのでそれで大丈夫です。
ただ、硯で墨をする意味って言うのも個人の解釈ですがあると思います
墨にはあまり刺激の強くない香料が入っていまして、側に置いておくとほのかに香りが漂ってくるという“幽香”(ゆうこう)や墨色などを五感で感じ楽しむ事ができるようになると
リラックス効果が得られ、字を書く前など心を落ち着かせて集中して字を書く事ができます。内側の変化に気づきそれを楽しめることも硯をする上での楽しみの一つだと思います。
硯は何処で採れるのか?
中国と日本で採れます。中国の石で作られた硯を唐硯(とうけん)といい、日本の石で作られた硯を和硯(わけん)と言います。唐硯はすごく種類が多く、特に中国の広東省の斧柯山(ふかざん)一帯で採れる端渓石で作られた端渓硯(たんけいけん)が有名です。石質が緻密で細かく墨がおりるのが特徴です。その他にも歙州硯(きゅうじゅうけん)と言う硯も有名で名前の由来はかつて中国にあった州の名称で、端渓硯と並び中国の二大名硯(にだい名めいけん)と言われています。表面の肌触りはサラッとしていますが鋒鋩(ほうぼう)は荒くザラザラしているので、松煙墨などの硬い墨を下ろす際に適しています。
中国広東省肇慶市内
4travel.jp
硯は日本だとどの辺で採れるのか?
日本での和硯の産地は宮城県の雄勝の玄昌石(げんしょうせき)、山梨県早川町の雨畑石(あまはたせき)三重県熊野市の那智黒石(なちぐろいし)山口県宇部市の赤間石(あかませき)です。
・宮城県の雄勝で採れる玄昌石は黒色硬質粘板岩(こくしょくこうしつねんばんいわ)であり、純黒色で圧縮・曲げに強く、吸水率が低いため、長い年月にも変化しない性質を持っています。見飽きることのない優雅さは、柔らかな黒髪を思わせる女性美を持っています。
・山梨県早川町で採れる雨畑石は緻密な粘板岩で薄紙を重ねたような層をしているので、
鋒鋩が細かく均質にあるので墨色が綺麗におりるのが特徴です。
・三重県熊野市で採れる那智黒石は囲碁で使われる黒石の原料としても使われており、深い黒色に表面が滑らかなので時間をかけてゆっくり墨をすれば深みのある墨色を得ることができます。
・山口県宇都市で採れる赤間石は石英(せきえい)や鉄分を多く含む石を原材料としています。そのため緻密な性質であることから、墨を細かくすることができ、発色の良い伸びやかな墨汁を得ることができます。
国内での硯の産地
ともさんの焼き物骨董品紀行
硯の値段にはなぜこんなに差があるのか?
一言で言うと硯の原材料となる石の希少価値が=で硯のお値段の差になるからです。
例えば中国広東省。清時代(1644年〜1912年)以前の古端渓だと数十万〜数百万円
それ以降に生産された新端渓でも5万〜10万円程度の金額で出回っています。
それに比べて書道セットなどに入っていて、書道を始めたての方が一番最初に買われる硯が羅紋硯(らもんけん)という硯なんですが、この硯は大量に産出できるため一番小さい四五平サイズで660円ぐらいで手に入れることができます。
端渓硯について
端渓硯は中国広東省肇慶市を産地とする“端渓石”と呼ばれる種類の石を素材として作られた硯の名称であり、硯の一種類です。王朝期時代、端渓硯の佳品ともなれば皇帝へ貢がれ、また、高級官僚のあいだではそれを所有することがステータスともなり、時には賄賂として使われることもあったほど希少で収蔵価値の高い硯でした。特徴は墨の伸びが良い、墨色が良い、墨のくだりがはやいなど硯として優秀さを絶賛されてきました。
端渓硯の中でも老坑水巖石(ろうこうすいがん)は硯材としては最高峰とされる石です。
これに次いで良質とされるのが坑仔巌(こうしがん)です。紅紫色を貴重としていてきめの細かい石質が特徴としています。そして麻子坑(ましこう)は滑らかで石紋が綺麗に浮かび上がり鑑賞用にコレクターが保管するぐらい綺麗な硯になります。これら三坑は「端渓三大名坑と言われています。
端渓石の産地
すずりライフ
羅紋硯について
羅紋硯は中国の安徽省で産出する硯石で、粘板岩の一種で薄い板状の岩が層になっているのを縦割りに切り取り硯に仕上げています。羅紋硯は大量に産出されるので価格も手軽で多くの方が実用硯として使っています。
硯に使用される石と普通の石では何が違うのか?
硯の原材料となる石には表面に「鋒鋩(ほうぼう)」というヤスリの役割りを果たしす細かな凹凸があります。この鋒鋩に墨が磨れて硯に入れた水と混ざり墨汁になります。だからその辺に転がっている石で墨を磨っても鋒鋩がないので墨をすることができないのです
硯の表面をマイクロスコープで撮影した写真
天来書院
硯のお手入れはどうすれば良いのか?
墨を練習で出た半紙などの紙で軽く拭き取ります。
その後に流し台に持っていき冬場などの場合は墨に入っている膠を溶かすためにお湯を使って洗い流してください。頑固にこびりついた墨を撮るは20分から30分お湯につけてから泥砥石(どろといし)などを上手く利用して隅の部分などについた墨を擦ってください。平な部分も泥砥石で洗っていただけたらそれで大丈夫です。
硯の汚れを洗い流す泥砥石
それではGood your Wrife!
Wrife=ライフ とは? life(生活)とwrite(書く)を掛け合わせた造語になります。
書き初めは難しくネガティブな気持ちが生まれるかもしれないけど、続けることで精神的なスペースが内側に生まれ、受動的な思いは変化し普段の生活や行動がポジティブに切り替わるきっかけを作る。全人類が幸せで平和な世界になりますように Good your Wrif